「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.08.10

植物工場

太陽の下、畑で育てられるイメージの強い農作物ですが、実は工場内で育てられることもあります。大手企業が「植物工場」への取り組みを強化しているのですが、それには主に4つの要因があります。

1、不況の中で、成長産業として期待されている。

2、植物工場を建設する事業者に、国が補助金を交付している。

3、気候変動リスクにより、豊作と不作の変動が激しいため、一定の価格で供給できることで評価が高まっている。

4、食の安全に対する意識の高まりにより、無農薬で生産履歴のわかることが注目されている。

これらの理由により植物工場が注目されているわけですが、植物工場が脚光を浴びたのは、今回が初めてではないようです。

しかし、3つの理由により普及しなかったようです。

1、初期コストが高い。施設を揃えるのは高額になります。

2、ランニングコスト(電気代等)が高い。

3、品質が悪い。

だが、今回は技術革新や栽培ノウハウの進化等によって、これらの問題が解決されているようです。

初期費用は、国からの補助金で賄えます。

また、ランニングコストも、従来の電球から蛍光灯に替えることで効率が上がり、節約することができています。

そして、品質も、照明や栄養や水などに工夫を加えることで、改善してきたみたいです。

一方で、なかなか普及の進まない現実もあり、研究者にも焦りがあるようです。

実際、工場で栽培できる植物は、レタスやハーブなどの葉物に限られていて、大根などの根菜やトマトなどの実の栽培技術はまだ実現していないそうです。

植物工場の将来は、今にかかっていると考えられていて、現在も日々進化しています。

植物工場が成功すれば、天候に恵まれない海外にも普及を進める予定だそうです。砂漠が多い国などでは重宝されることだと思います。

実際、今年の日本では天候不順により野菜が不作で、高騰しています。今後同じように日照時間が少なければ、さらに高騰することでしょう。そうなれば、天候に左右されない植物工場はますます注目されることでしょう。

日本は農作物の自給率が低いという事実もありますし、新たに農業分野での景気改善、雇用などが見込めそうなので、今後研究を進める価値はあるように思います。

(上田純也)