「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.08.17

不動産の所有目的

 不動産を所有する目的といえば、賃貸料収入を得る、転売のため値上りを期待する、事業のための店舗とするために所有する、などあります。

 我々税理士が関与する資産家が不動産を所有する目的は、次の世代に不動産を残すことという場合が多いといえます。なので、地価の上下はあまり気にしません。

 多くの場合、長男が不動産を相続しますが、これは不動産をしっかり管理・維持し次の世代に残すという暗黙の了解のもと遺産分割が行なわれているわけです。

 低成長時代に入り不動産価格が下落していますが、不動産取得の借入金がなく、次世代に残すための所有であれば、実は今の経済状況はむしろ目的が達成しやすい時代といえます。

 不動産価格が下落するので、相続税や固定資産税は軽減されます。また近年相続税法の改正で相続税率は引下げられています。にもかかわらず、家賃収入は不動産価格ほど下落しません。空室率の増加をある程度抑えることができれば、むしろ不動産を維持しやすい時代であるといえます。

(税理士:白井一馬)