新事業承継税制は、生前の事業承継の場合にも利用することが可能です。
この場合は、後継者に株式を一括で贈与し、先代経営者は役員を退任することが求められます。相続の場合は、先代経営者は死亡しているので経営者が交代するのは当然ですが、生前贈与の場合は役員を退任する、つまり隠居することが求められるわけです。
理由としては、事業承継後は、先代経営者が会社の価値を高める、すなわち株価上昇の要因に携わってはならない、という趣旨だと思われます。
つまり、役員退任要件があるために、先代経営者が経営に影響力を持っている会社では、実行が難しいことになります。
この意味では、既に役員を退任している、あるいは退任が可能になっている会社が、生前贈与による納税猶予制度の利用を検討すべきということになるでしょう。
(税理士:白井一馬)