「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.11.26

最低賃金の引き上げ

最低賃金の引き上げが、民主党の政権公約に含まれています。最低賃金を引き上げることで、そこで働いている貧困世帯を解消させるためという理由だそうです。それでは、最低賃金の引き上げは、貧困世帯の解消につながるのでしょうか? そもそも、最低賃金の引き上げが貧困世帯の解消につながるというのは、貧困世帯が最低賃金で働いている場合に成り立つ考え方です。

しかし、実際に最低賃金で働いているのは、非世帯主がパートやアルバイトで働いている場合が多いそうです。

つまり、世帯主が主に稼いで、副収入として非世帯主が働いている場合が多いそうなので、最低賃金の引き上げは直接貧困世帯には関係ないという考えがあります。

また、最低賃金の引き上げが企業を圧迫して、パートとして働いている中高年女性の雇用を減らすという懸念もあります。確かに、賃金が上がれば企業の負担が重くなるのは、確実です。

そのため、最低賃金の引き上げを慎重に見直すべきだという考えもあるそうです。

とはいえ、最低賃金を引き上げれば、今まで最低賃金で働いていた貧困世帯を救えるのは事実なので、必ずしも無駄とは言えません。一時期よく話題に取り上げられた、ネットカフェ難民と呼ばれる方々なども、少しは生活が良くなるかもしれません。

大事なのは、一番効果の上がる政策を選ぶことです。やってみなければわからないことなので、難しいことですが、企業を経営する側にとっても、働く側にとっても重要なことなので、慎重に議論してもらいたいですね。

(上田 純也)