最近、退職時等に未消化となった年次有給休暇について、
買上げを要求される事例が増えてきています。
そこで、今回は年次有給休暇の買上げに関する注意点を
採り上げたいと思います。
先に結論を述べますと…
『一定の条件の下で、買上げが可能です。』
まずは、年次有給休暇についてお話したいと思います。
年次有給休暇は「仕事による疲労を回復し、ゆとりのある生活を
送ること」を目的に付与が義務付けられました。
法律では「雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し、
全所定労働日の8割以上出勤した職員に対して最低10日(常
勤職員の場合)の年次有給休暇を与えなければならない。」
とされています。
さらに、勤続年数に比例して以下のように付与日数が決められています。
勤続年数(年) 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
付与日数(日) 10 11 12 14 16 18 20
また、週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が
30時間未満の非常勤職員に関しては、週所定労働日数に
応じて年次有給休暇が比例付与されます。
では、これらを基に年次有給休暇の買上げについて
お話したいと思います。
原則として、年次有給休暇の買上げは法律で禁止されています。
しかし、次のいずれかの条件を満たす分については、買上げが
可能となっています。
(1) 時効(付与されてから2年間)により消滅した年次有給休暇
(2) 退職時点における未消化の年次有給休暇
(3) 法律が定める付与日数を上回って付与している年次有給休暇
このように年次有給休暇の買上げは可能ですが、
上記の年次有給休暇を必ずしも買上げる必要はありません。
本来の目的に沿って、できる限り消化してもらい、
このような問題が発生しないような運用をすることが
望ましいでしょう。
社労事業部
村本 直人