「知」の結集 ゆびすいコラム

2010.03.12

「 曖昧さ 」 を受け入れること。

日々、たくさんの決断を迫られることが多い経営者の方々。決断までのスピードをどうしても求められることが多いと思います。

しかも、「経営判断」というものは、全てメリットデメリットの両方の側面が存在します。だからこその「経営者として」の意思決定であり、メリットしかないのであれば、それは中間管理職以下の判断要素となります。

メリットデメリットの両方があるとわかっていながら、それでも決断しなければならない。自分の経営者としての立場の重圧が、結果を白か黒かの二極思考にどんどん追い詰めていきます。

しかし、どうなることが結果なのでしょうか。

もちろん経営者であれば、業績を上げること、落とさないことが結果として求められますが、日々の決断は全てそれに直結してるでしょうか?自己の決断以外にも、あらゆる要因、外的な要因、自己ではどうしようもない要因など複雑に絡み合って結果は訪れます。

人のエネルギーは有限だと思います。一つ一つの決断の重みを感じることは大切なことかもしれませんが、それにエネルギーを使いすぎ、身をすり減らし、ただその分だけ結果に執着することで、完璧主義、それもどんな結果を出しても自分自身に「OK」を出すことが決してできない状態を自ら作り出してしまっている・・・そんな社長様をよく見受けられます。そのストレスが自己をマイナス思考に陥らせたり、社内の空気を重くさせたり、エネルギーの枯渇は無意識に弊害も伴います。

その姿勢を批判したいわけでなく、もう少し力を抜いて、白か黒か、だけでなく、その中間にある「曖昧さ」、結果・事実は一つですが、それをどう捉えるか、「決断を間違えた・・・」と捉えるか、それをまたバネにできるか・・・ 私は曖昧さの感覚はとても大切だと思います。

白か黒か、絶対的な結果と価値を求めなくても、曖昧さを受け入れることでエネルギーを節約できます。そのエネルギーをまた別の決断、コミュニケーションに使うことができれば、決してただの楽観主義というわけではないと思います。

経営が厳しい時期だからこそ、ときには肩の力を抜き、一つの結果に執着せず、「曖昧さ」を恐れずに日々の経営判断に立ち向かって欲しいと私は感じます。

(税理士 : 中芝康仁)