前回に引き続き、被災地での法律相談をご紹介します。
事例?
津波により父親を亡くし、母親も津波により行方不明。
父親の所有していた土地等財産を処分したいがどうすればよいか?
この事例で問題になるのは、母親が行方不明であることから財産を簡単に処分ができないということです。
民法上、行方不明者は通常なら行方不明になってから7年後、災害時には1年後に失踪宣告を受けて死亡が認められます。
しかし、その宣告を受けるまでは死亡が認められません。
この事例の場合、行方不明である母親も失踪宣告を受けるまで相続人の一人となり父親の財産を簡単に処分できなくなってしまいます。
このようなケースが多くなると、土地の帰属がはっきりできず復興の都市計画にも影響してしまうとの指摘もあります。
この事例では明快な解決策が現時点ではありません。
今後政府主導による解決策が求められるのではないかと考えられます。
2回に分けて書かせていただきましたが、災害が発生した場合には、現行の法律では対応できないことも出てきます。
国会は会期を70日間延長されることが6月22日に議決されました。
会期が延長されたからには、今回の事例だけでなく、被災地復興のための議論をより深めていただき、被災地に希望をもたらす復興計画が1日でも早く実行される段階にまで進んでほしいと思います。
(水野上 崇)