新年度が近づいています。年度が変われば新しい人が入ってきたり、部署が変わったりという異動が付き物です。
その中で新しい上下関係や、雇用、被雇用関係が生じてくると思います。
上下関係では、違う一面を上司が引出してくれたり、後輩の指導をすることで自分自身でも気付かなかった発見があったりと良いことがありますが、そればかりではなく、どうしてもマイナスイメージが先行してしまいます。
雇う側と雇われる側の考え方がかけ離れていることが多く、経営者様はそのことで頭を悩ませていることと思います。
上方落語で、『百年目』という落語があります。
私が聞いたのは桂米朝の噺だったのですが、その中に旦那が番頭にお説教をする場面があります。
その話を簡単に書きますと、
「旦那という言葉はどこから来ているのか。これは寺方の言葉だそうで、南天竺に生えている『赤栴檀(しゃくせんだん)』という見る人が皆誉めたたえるという素晴らしい木があり、その根元にみすぼらしい難莚草(なんえんそう)という雑草がある。
難莚草の方を見苦しいということで抜き取ると、赤栴檀の方も枯れてしまう。
実は両者はお互いを肥やしにしており、お互いで支えあっている存在。
片方が栄えれば片方も栄える。寺方と檀家もこれでないといけないということから、頭文字を抜き取って旦那という」
換言すると『持ちつ持たれつの関係』であるということなのでしょう。
上下関係や、雇用、被雇用関係というものをそのままの字面で捉えてしまうとマイナスイメージが先行しますが、実態はマイナスだけではないということを考えさせてくれる言葉でした。
異動が多いこの時期に一度立ち返って考えてみるのは如何でしょうか。