「知」の結集 ゆびすいコラム

2012.05.14

受取配当等の益金不算入制度?簡便法による控除負債利子の算定

法人が内国法人から配当等を受けた場合に、その受取配当 等の全部または一部を課税所得の計算上益金に算入しない こととする規定として「受取配当等の益金不算入制度」が あります。

具体的には、受け取った配当等の基となる株式等の区分に応じ 益金不算入額を計算します。

?完全子法人株式等(100%子会社)に係る配当等の額 については全額、 ?関係法人株式等に係る配当等の額については、受取配当 等の額から負債利子のうちその株式等にかかる部分の金額 を控除した金額、 ?その他の株式等に係る配当等の額については、受取配当 等の額から負債利子のうちその株式等に係る部分の金額を 控除した金額の50%相当額が益金不算入額となります。

この負債利子の計算方法には原則法と簡便法があります。

原則法とは、総資産按分法とも言われ負債利子の額に当期 末及び前期末の総資産の帳簿価額の合計額に対する当期末 及び前期末の株式等の帳簿価額の合計額の占める割合を 乗じて計算する方法をいいます。

簡便法とは、当該事業年度の負債利子の額に、基準年度に 支払う負債利子の額の合計額に対する基準年度の原則法に より計算した控除負債利子の額の占める割合を乗じて計算 する方法をいいます。

ここでいう基準年度とは平成22年4月1日から平成24 年3月31日までの2年間に開始した各事業年度を指します。

この基準年度については2年前に見直しが行われ、現行の 前期(22年度)と当期(23年度)となりました。

昨年度は前期(22年度)の負債利子の額をそのまま 用いればよかったのですが、今年度は前期と当期の 負債利子の額を用いて計算することになります。

これによって、基準年度見直し前の21年度、見直し後で基 準期間を1年間として算定する22年度、見直し後で基準期 間を2年間として算定する23年度と3年連続で簡便法によ る負債利子の控除割合が異なるものになりますので、簡便法 を用いる場合は注意が必要です。