平成24年度の税制改正により、勤続年数5年以下の法人
役員等の退職金について、いわゆる2分の1課税が廃止され
ることになりました。
退職所得に係る所得税額の計算は、原則として、他の所得と
区分して、次のように行います。
(収入金額‐退職所得控除額)×1/2× 税率=所得税額
今回の改正により、勤続年数5年以下の役員等に対する
退職手当等(特定役員退職手当等)に係る退職所得金額の
計算については、退職所得控除額控除後の残額を2分の1
することができなくなりました。
例えば、勤続年数4年の役員が退職金500万を受領した場合、
改正前は、
退職所得=500万円―(40万円×4年)×1/2=170万円でしたが、
改正後は2分の1とする措置がなくなりますので、170万円の2倍
である340万円となります。
所得税の税率は、所得が多くなればなるほど税率が高くなる
累進課税方式を取っているため、短い勤続年数で退職される
役員の方は、税率を掛ける前の所得金額が増える上に、場合
によっては税率がひとつ上の区分になり、思った以上に多額
の所得税を源泉徴収されることになるかもしれません。
この改正は、平成25年分以後の所得税および個人住民税に
ついて適用されることになっていますので、役員の在任期間
には十分ご注意ください。
(森脇啓明)