「知」の結集 ゆびすいコラム

2012.07.11

退職所得課税の見直し

平成24年度の税制改正により、勤続年数5年以下の法人 役員等の退職金について、いわゆる2分の1課税が廃止され ることになりました。

退職所得に係る所得税額の計算は、原則として、他の所得と 区分して、次のように行います。

(収入金額‐退職所得控除額)×1/2× 税率=所得税額 今回の改正により、勤続年数5年以下の役員等に対する 退職手当等(特定役員退職手当等)に係る退職所得金額の 計算については、退職所得控除額控除後の残額を2分の1 することができなくなりました。

例えば、勤続年数4年の役員が退職金500万を受領した場合、 改正前は、 退職所得=500万円―(40万円×4年)×1/2=170万円でしたが、 改正後は2分の1とする措置がなくなりますので、170万円の2倍 である340万円となります。

所得税の税率は、所得が多くなればなるほど税率が高くなる 累進課税方式を取っているため、短い勤続年数で退職される 役員の方は、税率を掛ける前の所得金額が増える上に、場合 によっては税率がひとつ上の区分になり、思った以上に多額 の所得税を源泉徴収されることになるかもしれません。

この改正は、平成25年分以後の所得税および個人住民税に ついて適用されることになっていますので、役員の在任期間 には十分ご注意ください。

(森脇啓明)