「知」の結集 ゆびすいコラム

2013.11.13

事業承継のタイミング

日増しに寒さが加わってまいりましたが、読者の皆様におかれましては、風邪などお召ではないでしょうか? さて、今日は事業承継についてお話をさせていただこうと思うのですが、お伝えしたい内容はスバリ 「事業承継はお早めに!!」ということです。

理由は大きく2点に分かれます。

〇まず1点目は「業績UPの可能性が高い」ということです。

2013年度の中小企業白書のデータによると、事業承継時の年齢別に見た事業承継後の業績推移として、「良くなった」と答えた人の割合が、 40歳未満  59.5% 40代     46.8% 50代     43.1% 60歳以上  39.9% となっており、若い内に事業承継を行ったほうが、業績が良くなる可能性が高いという傾向が見て取れます。

また、事業承継時の現経営者(後継者)年齢別タイミングによると、      より遅い方が良い  ちょうど良い  より早い方が良い 40歳未満  21.6%     69.1%    9.3% 40代      5.7%     73.3%   21.0% 50代      6.2%     56.8%   37.1% 60歳以上   6.8%     50.6%   42.6% となり、平均と取ると43歳が一番良い年齢であるという結果になります。

この結果を私的に分析すると、「社長」という肩書はやはり遅くとも40代で引き継ぎ、「会長」という立場で後継者を見守るというスタンスが中小企業の経営として一番安定しやすいのではないかと考えます。

ちなみに、直近5年間で事業承継を行った企業の平均年齢は、 現経営者(後継者)が51歳、前経営者が68歳となっています。

〇2点目として、「相続・贈与対策」があげられます。

25年の改正(27年1月適用)により、相続税の基礎控除額が 5000万+1000万×法定相続人数から、 3000万+600万×法定相続人数へと現行の6割となります。

例えば、相続人が妻と子ども3人の場合ですと、以前は財産総額が5000+4×1000=9000万までは相続税はかかりませんが、今後は3000+4×600=5400万から相続税がかかることになります。

5000万の財産と言いますと、ある程度地価の高い場所に自宅を所有している場合や、自社株式の評価額が高くなる場合は、簡単に越えて高額な相続税が発生してしまう可能性があります。

このような相続税への対策は、いざ相続が起こったタイミングになってしまうと、打ち手が限られてしまいますが、生前贈与や新・事業承継税制への適合などを事前に行っておくことで、大きな節税効果を上げることができます。

繰り返しになりますが、相続対策は前もって実行しておいて、絶対に損はありません。事業承継は相続対策にとっても非常に大きなポイントとなりますので、事業承継・相続対策をセットで考えて、是非お早めに検討していただいてはいかがかと思います。

経営コンサルティング事業部 石川 泰令(Yasunori Ishikawa)