「知」の結集 ゆびすいコラム

2014.02.20

雪で出勤できない日の給与は?

今月は、関東地方を中心に記録的な大雪が2度もありました。

未だに交通機関が麻痺して孤立している地域もあるようで、被害に遭われた皆様にはお見舞い申し上げます。

さて、大雪の日は交通機関が乱れて出勤できない方も多かったのではないでしょうか。また、会社が出勤は危険と判断して自宅待機命令を出したケースもあったかと思います。

このような場合、結果的に出勤しなかった日の給与は法律上どのように定められているか、ご存知でしょうか? まず、出勤しなかった理由が「会社都合だったか否か」で区分します。

①【会社都合だった場合】

会社は休業手当として平均賃金の60%以上を支払わなければなりません。

②【会社都合でなかった場合】

会社に給与の支払義務はありません(当然支払っても問題ありません)。

それでは、交通機関が乱れて出勤できなかった場合はどちらに当てはまるでしょうか。

この場合、天候による交通機関乱れは不可抗力なので会社都合ではありません。(②) また、出勤しようと思えばできるが、会社が自宅待機命令を出したので出勤しなかった場合はどちらでしょうか。

この場合は、不可抗力で出勤できなかったわけではなく、会社の判断で出勤をさせなかったということで会社都合となります。(①) 会社が従業員の危険を配慮して自宅待機命令を出した場合の方が、休業手当を支払わなければならないというのは理不尽な気もしますが、これが法律上の取り扱いです。

ただ、不可抗力で出勤できなかった場合も、会社都合ではありませんが従業員も好んで休んだわけではないので、実際には給与を支払っている会社はかなり多いのが現状です。

法律はあくまで最低基準を定めているに過ぎないので、実務上は会社の負担と従業員の心情とのバランスを考えて対応されるのが良いのではないでしょうか。

まだまだ寒い日が続きますので体調管理にはお気を付けください。

(川本 祐介)