「知」の結集 ゆびすいコラム

2014.05.09

役員の解任と損害賠償

4月下旬 「赤福餅」で有名な「株式会社赤福」の役員人事が発表されました。

それは、代表取締役社長の交替と、同時に新社長を除く取締役も全て入れ替えるという内容でした。

5月9日現在の登記記録では退くこととなった社長が「辞任」したのか「解任」されたのかはまだ不明ですが、日本経済新聞は5月9日付の記事で「解任」されたと報じています。

ところで、会社の登記の仕事に携わっていますと、まれにお客様から 「取締役の○○をすぐにでも解任したいんだけど・・・」 といったご相談を受けることがあります。

法律上、取締役は株主総会でいつでも解任することができることになっています。

しかし、われわれとしましては、理由をお聞きしたうえで、「辞任」していただく方向で調整していただくか、任期満了が近ければ「任期満了で退任」していただくことをお勧めすることが多くあります。

なぜなら、取締役を正当な理由なく任期途中で「解任」した場合、その解任によって生じた損害(残りの任期分の役員報酬など)の賠償を請求されるリスクがあるからです。

賠償額は、残りの任期が長ければ長い程大きくなります。

取締役の任期は最大10年まで伸ばすことができますので、仮に10年分の役員報酬となると、場合によってはかなり大きな数字になります。

冒頭の事例では一見簡単に取締役を解任しているように見えますが、それにはそれなりのリスクがあります。

オーナー・経営者様におかれましては、役員を辞めさせたくなったときにはくれぐれもご注意ください・・・

司法書士法人ゆびすい登記センター  
司法書士 加賀爪 優作