昨年の通常国会において、「行政手続きにおける特定の個人を
識別するための番号の利用等に関する法律」が成立しました。
2015年の秋口に番号の通知が開始され、2016年1月からは、
個人番号カードの交付や、社会保障・税・災害対策の3分野
における個人番号(以下「マイナンバー」という)の利用が
開始される予定です。
現在、首相の諮問機関である政府税制調査会のマイナンバー・
税務執行ディスカッショングループでマイナンバーの活用に
おいての議論がされています。
4月8日に行われた会議で、社会保障と税の共通番号制度の
使い方を広げ、金融機関の預金口座に預金者のマイナンバー
の登録を義務付けることを早急に検討するべきとの方針で一致
しました。
ディスカッショングループの会議資料によれば、社会保障に
ついての所得・資産要件を適正に執行する観点や、適正・公平
な税務執行の観点からは、国民の多くが保有する預金が把握の
対象から漏れている状態は改めるべきであるとしています。
預金口座へのマイナンバー付番により、個人資産をより正確
に把握できるようになることから上記課題の解決の他、マネー
ロンダリング対策や預金保険などでの名寄せ、災害時の迅速
な対応といった場面でもその効果が期待できるとしています。
しかし、個人預金口座は10億口座を上回るとされており、金融
機関のコストや個人情報の漏洩のリスクが高いなどの観点から
運用実現には課題も多くあります。
マイナンバーの活用に関してはまだまだ検討事項が多くあり、
今後どのような議論がされるのか動向に注目です。
(小田上卓矢)