「知」の結集 ゆびすいコラム

2016.02.22

医療費の一部が返ってくる?医療費控除と高額療養費

  医療費控除と高額療養費制度。どちらも医療費の負担を軽減してくれる制度であることから、多くの方が両制度を混同されています。

 この似たような2つの制度を、簡単に整理しますと、下記のようになります。

<医療費控除>
 所得税の確定申告の際に税務署へ申告することにより、一定額の控除が受けられ、所得税・住民税の負担が軽減されます。多くの方の場合、年間10万円を超える医療費の額が所得から控除できる金額となります。
 なお、保険適用となる診療だけでなく、治療のための費用であれば薬局で購入したかぜ薬なども対象となりますし、一緒に生活されている家族の医療費も合算して計算することができます。

<高額療養費>
 ご加入の健康保険証の発行機関(協会けんぽや健康保険組合、市役所など)に申請することにより、自己負担限度額を超えた金額が健康保険から払戻しされます。 
 自己負担限度額は1か月単位で計算し、その方の年齢・収入・その年に高額療養費を受給した回数により変わります。例えば、40歳で月給30万円の方が入院されて自己負担額が月20万円かかったとすると、約12万円が返金されます。
 なお、一定の場合は同一世帯の方の医療費を合算して計算できますが、差額ベッド代のように保険適用とならない支払は対象外です。

どちらも上手に利用したい制度ですが、医療費控除の計算では、受給した高額療養費は除外しなければならない上、医療費の領収証を税務署へ提出することになります。いったん提出したものは返してもらうのにかなりの時間がかかりますので、先に高額療養費の請求手続きを行った後、医療費控除の申告を行うと良いでしょう。


藤野 直志
税金