「知」の結集 ゆびすいコラム

2016.02.29

上場株式の配当金に関する税金の仕組み

 確定申告が始まって約1週間が経ちました。みなさん、もう確定申告はお済でしょうか?

さて、今回は上場株式の配当金に関する税金の仕組みをご説明したいと思います。

個人が配当金を受け取る際、上場株式等の配当であれば20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)が源泉徴収されます。この配当に関する申告は次の3つの方法から自分で選択することができます。
  ・総合課税で申告し、配当控除を受ける。
  ・申告分離課税(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)で申告し、株式等の譲渡損失と損益通算する。
  ・申告しない。

<総合課税で申告、配当控除を受ける>
総合課税で配当所得を申告すると他の所得(給与や年金)と合算され税金が計算されます。

(メリット)
・配当控除(所得税10%、住民税2.8%)を受けることができ、所得税率が低い方は総合課税で申告すると有利になります。目安は所得税率が20%(課税所得が695万円以下)です。

<申告分離課税で申告、譲渡損失と損益通算する>
申告分離課税で申告すると、株式等の譲渡損失と損益通算することができます。例えば、配当金が10万円(源泉徴収されている税金は20,315円)、譲渡損失が10万円であった場合、損益通算すると所得は0円になります。したがって、源泉徴収されている20,315円が還付されます。なお、同一の特定口座では自動的に損益通算されて税金が還付されます。

(メリット)
・複数の特定口座を保有している場合、1つの特定口座で発生した損失を他の特定口座の配当と相殺して損益通算し、税金の還付を受けることができます。
・譲渡損失がある場合は3年間繰越することができるので、翌年度以降の配当と相殺することができます。

<申告しない>
 上場株式等の配当は金額の多少にかかわらず申告をしないで源泉徴収のみで終わることができます(発行済株式総数3%以上の株式を保有する大口株主を除く)。

(メリット)
・総合課税や分離課税で申告した場合、税金の還付金以上に国民健康保険料等の負担が増えることがありますが、それを防ぐことができる。
・また、申告して38万円を超える所得となった場合、その方は他の方の配偶者控除や扶養親族に該当しなくなりますが、それを防ぐことができる。
それぞの特徴を勘案して、最もメリットのある方法を選択したいものです。一度確認されてみてはいかかでしょうか。

緒方康人

 

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