2017.03.01
今回は満期保険金を受け取った場合の課税関係について説明したいと思います。
まず、保険契約には「保険契約者(保険料負担者)」、「被保険者」、そして「保険金受取人」の3人が登場します。保険金を受け取った場合には、それぞれが誰なのかを確認しなければなりません。
このときはAに対して所得税が課税されます(保険契約者=保険金受取人)。
保険契約者がA、被保険者がB、保険金受取人がCという保険が満期になった場合、Aが掛けていた保険が満期になり、Cが保険金を受け取ることになりますので、AからCへ財産が移転したことになり、Cに贈与税が課税されます(保険契約者≠保険金受取人)。
他方、満期保険金に対して贈与税が課税される場合は、310万円-110万円(贈与税の基礎控除額)=190万円に対して贈与税が課税されます。この時納める贈与税は20万円となります。
ここまでだと、贈与税が課税される方が税額が大きいように思えますが、一概にそうとも言えません。
上記の設例で保険契約者と保険金受取人が妻であった場合、妻は夫の扶養から外れてしまい、夫は配偶者控除を受けることができません。夫の所得にもよりますが、仮に夫が最高税率であった場合、夫の税負担は約21万円増えます。妻の税額と合わせて約27万円の納税となります。
保険金が満期になる直前に保険金受取人を子どもに変更した場合、子どもに贈与税が20万円課税されるのみで済みます。この場合、子どもに所得が生じるわけではないので、所得金額で判定する扶養控除に影響はありません。結果的に7万円程度節税になります。
そのうえで申告もれがないようにご注意ください。
税理士 緒方 康人