「知」の結集 ゆびすいコラム

2017.05.10

~生前贈与(ジュニアNISA)~

  平成28年4月にジュニアNISAが運用開始され、約1年が経過しました。このコラムをご覧いただいている方の中にも利用されている方がいらっしゃるかと思います。今回はジュニアNISAの概略と贈与税における位置付けを再確認していきましょう。

【ジュニアNISAの概略】
 ジュニアNISAの主な内容は次のとおりです。
①対象者は0歳~19歳の居住者等
②投資対象商品は上場株式、投資信託等
③年間投資枠80万円×非課税期間5年間=総額400万円の非課税枠
④投資可能期間平成28年4月~平成35年12月
⑤親権者等が未成年者のために代理して運用、18歳までは払出制限あり
 
【贈与税における位置付け】
ジュニアNISAの投資に係る資金源は、ほとんどの場合親や祖父母などの親権者等からの贈与によるものと考えられます。この贈与は暦年贈与となるため年間110万円までは贈与税は課税されず、申告義務もありません。ジュニアNISAの場合、年間投資枠が80万円と少額であるため、贈与税は申告しないことが多いでしょう。ただし、気を付けたいのが、この他にも贈与を行っている場合です。親権者等が代理して管理・運用することから、贈与という意識があまりないかもしれませんが、これも立派な贈与です。他の贈与と併せて110万円を超える場合には申告もれのないよう注意が必要です。
なお、未成年者に対する贈与は名義財産として税務調査の現場でも問題となるケースがあります。このジュニアNISAに係る贈与の場合、親権者から未成年の子に対しての贈与となれば、未成年の子が贈与の事実を知っていたかどうかにかかわらず、贈与契約は成立すると解されていますし、金融機関が親権者等の代理・同意のもとで、その未成年者の投資財産として運用管理することとなりますので、名義財産と認定される可能性は低いと言え、相続対策の一手段にもなります。
 

 現時点でジュニアNISAを利用されていない方も、一度ご検討なされてみてはいかがでしょうか。

堺事業部 大元 誠児

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