「知」の結集 ゆびすいコラム

2017.08.01

出資持ち分評価の改正

平成29年度税制改正により、取引相場のない株式(出資)の評価方法が見直されました。

経過措置医療法人で主に影響を受ける点は、次の3項目となります。

①類似業種の上場会社の株価の選択については、課税時期の属する月以前2年間平均が加えられます。
②類似業種の利益金額及び簿価純資産の比重は、1:1とします。

③規模区分(大会社、中会社、小会社)を判定する際の純資産価額、従業員数、取引金額の金額等を見直しました。

特に影響が大きい項目は②の比重割合の改正です。

そもそも、経過措置医療法人の出資金計算上の類似業種比準価額は、上場会社の株価(その他の産業)に、上場会社の「利益」と「純資産価額」を評価対象医療法人のそれと比較して算出した比準割合を乗じ、さらに法人規模に応じた係数を乗じて算定します。

この比準割合は、(利益要素×3+純資産要素)÷4 で算出していました。
これが改正により、(利益要素+純資産要素)÷2とし、、それぞれの要素を均等にしました。
改正後は、利益水準が高い医療法人の評価額は低くなりますが、利益水準が低いが純資産は潤沢な医療法人の評価額は逆に高くなってしまいます。

そのため、法人の状況次第で出資金に対する相続税・贈与税の負担に大きな影響があります。

6月に平成29年分の類似業種の株価表が公表されたので、改正による影響を計算してみるとともに、これを機会に「医業継続に係る相続税、贈与税の納税猶予」を検討してみてはいかがでしょうか?

(税理士・医業経営コンサルタント 土屋英則)

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