「知」の結集 ゆびすいコラム

2018.04.02

印紙税は安くできる!?課税要件を徹底解剖!

 収入印紙は住宅を購入する際の不動産売買契約書、借入をする際の消費貸借契約書、領収書など日本中で使用されていますが、残念ながら印紙税に詳しい人というのは多くありません。印紙税の課税要件を踏まえずに文書を作成し、結果的に印紙税の負担が大きくなっている場合もあります。

 今回は印紙税の課税の仕組みと文書作成のポイント、収入印紙の貼り付けをしなかった場合のペナルティを簡単に説明したいと思います。

1.印紙税の課税の仕組み

 印紙税は、経済取引に課される流通税であり、その経済取引の際に作成される文書に対して課税されます。したがって、経済取引というよりも文書の内容で印紙税の課否が決まります。また、文書はそのすべてが課税されるのではなく、印紙税法において20種類の課税文書が定められており、それ以外の文書には課税されないこととなっています。課税文書(課税物件一覧表)は国税庁HPで確認することができます。

2.文書作成のポイント
 上述したように、印紙税は経済取引そのものではなく文書の内容でその課否が決まります。これを踏まえた上で、以下の5つのポイントに留意しておくと良いかと思います。
①文書が作成されなければ、印紙税は課税されません。
 印紙税が課税される文書とは、「紙の文書」を指します。したがって、契約書を作成しない場合や、電子文書による契約書の場合には経済取引が生じていても課税されません。
②変更契約書はその金額の記載によって税額が変わります。
 契約金額を変更する変更契約書は、変更金額の記載の仕方によって税額が変わります。
 例えば、土地売買代金について当初5,000万円であったものを6,000万円にしたい場合、
・変更契約書に「平成○年○月○日付土地売買契約書の売買代金を6,000万円にする」と記載した場合
 ⇒ 記載金額6,000万円として印紙税6万円の課税
・変更契約書に「平成○年○月○日付土地売買契約書の売買代金を1,000万円増額する」と記載した場合
 ⇒ 記載金額1,000万円として印紙税1万円の課税
 契約金額を変更する場合には変更金額のみ記載すると印紙税の負担を軽減することができます。
③経済取引が一つであっても、契約書が複数あれば、その通数分印紙税が課税されます。
④予約をした後に本契約をした場合、それぞれに文書を作成すれば、それぞれの文書に課税されます。
⑤課税事項を証明する文書でなければ課税されません。
 少し難しい部分ではありますが、印紙税は課税事項を証明する目的で作成された文書以外は課税しません。

 例えば、第17号文書「金銭又は有価証券の受取書」は、金銭又は有価証券の受領事実(=課税事項)を証明するために作成された文書に対して課税されます。したがって、債権債務を相殺した場合の領収書は、金銭又は有価証券の受領事実がないため課税されません。

3.収入印紙の貼り付けをしなかった場合のペナルティ

 印紙税は収入印紙を文書に貼り付け、印章又は署名で消すことによって納付したことになります。この収入印紙の貼り付けをしなかった場合には、不納付税額の3倍の過怠税が課されることとなり、この過怠税は本税部分も損金算入できません。とても重い罰則となっています。

4.最後に

 契約書・領収書などの文書は、会社を経営していくにあたって必要なものです。しかしながら契約書・領収書などが多くなるにつれ印紙税の負担も大きくなります。トラブル防止のために契約書・領収書などは作成しつつ、印紙税の負担も抑えていく、そのためにも一度自社の文書を見直してみてはいかがでしょうか。

大元 誠児

税 金