「知」の結集 ゆびすいコラム

2018.04.11

家なき子の小規模宅地等の特例の見直し

通常国会において、3月28日に平成30年度税制改正法が原案通りに可決されました。

平成30年度税制改正法のうち、持ち家に居住していない者(家なき子)の小規模宅地の特例についてお話していきます。

まず、家なき子の小規模宅地の特例の適用を受けるためには、
1. 被相続人に配偶者がいないこと
2. 相続開始直前に、被相続人が居住していた家屋に同居親族がいないこと
3. 被相続人が居住していた宅地等を申告期限まで保有していること

この3点の要件に該当した上で、「次の要件」を満たさなければいけません。

この「次の要件」が改正されました。
改正前:①相続人が相続開始3年以内に、本人または配偶者が所有する家屋に
     居住したことがない
改正後:①相続人が相続開始3年以内に本人、配偶者、相続人の3親等内の親族または、
     相続人の特別関係にある法人が所有する家屋に居住したことがない

    ②相続開始時に居住していた家屋を所有したことがない

今回の改正において、今まで特例の適用が受けれた下記の事例が、適用できなくなります。
【1】 被相続人が相続人の子を養子(孫養子)にし、被相続人が居住している土地等を
    孫養子が取得する場合(孫養子は相続人が所有している家屋に同居している)
【2】 相続人が居住している家屋を、相続開始3年以上前に同族会社に売却し、そのまま役員社宅として居住する

【3】 相続人が居住していた家屋等を、相続開始3年以上前に第3者に売却し、そのまま賃貸として居住する

この【1】から【3】の事例は、改正前の要件であれば、制度の趣旨から外れても、適用要件を満たしてしまうため、
小規模宅地の特例が受けれました。

しかし、

こうした節税行為を防止し、課税の公平性を保つ目的として、適用対象が実態に即する形に改められました。

今回の改正は、平成30年4月1日以後に相続または遺贈により取得する財産に係る相続税から適用されます。

岡林 知里

 

相 続