「知」の結集 ゆびすいコラム

2019.11.13

介護事業者における軽減税率の対応について

令和1年10月1日より、消費税の軽減税率制度が適用されました。
消費者目線では増税前に想定された混乱は思っているよりないのかな、と感じています。
一方、事業者目線で立つとまだまだ軽減税率への理解が浸透していないと感じるときがあります。
今回は、事業者のなかでも介護事業者に注目して、軽減税率のポイントをみていきましょう。
 
介護事業者が気を付けるべきポイントは、「入居者に対する食事提供サービス」です。
 

介護事業者は、国税庁が出している軽減税率の手引きによれば、有料老人ホーム及びサービス付き高齢者向け住宅において、入居者に対し、食事サービスを行うとき、以下の要件を満たす場合、軽減税率8%の適用をすると説明されています。

①1食の食事代が640円以下であること
②1日3食の食事代合計が1,920円であること
 
例えば、1食の食事代が640円を超える場合や1食あたり640円以下にしていたとしても、おやつ代などで1日1,920円を超える場合には、その超過部分が10%の適用になりますので、注意が必要です。
 
また、この軽減税率のポイントがなぜ有料老人ホーム及びサービス付き高齢者向け住宅のみに限定されているか?特別養護老人ホームやグループホームなどの食事には適用されないのか?という疑問が残ると思います。
これは、入居者に対する食事提供サービスが介護保険の適用対象かどうかの違いです。
介護保険が適用されるサービスは、消費税法上、非課税売上に該当します。
一方、軽減税率の適用の有無の前提は、そのサービス提供が消費税法上、課税売上であることです。
特別養護老人ホームやグループホームなどで行われる食事の提供サービスは、介護保険の適用範囲に含まれるため、軽減税率の論点がなかったといえます。
 
以上のように、介護事業者といっても、行っているサービス内容で軽減税率が適用されるものもあれば、適用されないものもあります。
こういったところに、介護業界の難しさを感じますね。
 
堺OF 吉村隆宏
 
 
税 金