「知」の結集 ゆびすいコラム

2019.11.18

芸能人の節税

最近、芸能人とお金に関するニュースをよく見かけます。

特にお笑い芸人のお金の話は大きく報道されています。
 
直近では、芸人の無申告が昼間のワイドショーを賑わせていたのではないでしょうか。
この報道の要約としては、当人は所属する事務所より支払われるテレビやラジオの出演料などを本人が設立した
法人を通して受け取っていたが、2012年から2015年までの4年間で個人的な旅行や洋服代などを経費として計上、
さらに、2016年から2018年までの3年間は申告を怠っていたことを国税局が指摘。すでに修正申告を済ませており、追徴税額は重加算税等を含め、
3,400万円にのぼると報道されています。
 
芸能人でも売れてくると今回のように、会社を設立し、その会社を通して給与を受け取るというスタイルが一般的のようです。
これは所得税と法人税の税率差にメリットがあるため、行われる節税策です。
所得税の最高税率は45%、法人税は23.2%となっているため、その他諸税はあるにしても、そのメリットは大きく感じられます。
 
上記の節税についても報道等では大きく取り上げられていますが、今回の問題はこのことではありません。
今回の問題点は、「個人的な支出を経費として確定申告していた」こと、「そもそも確定申告を怠っていたこと」、の大きく2点となります。
 
1点目の「個人的な支出を経費として確定申告していた」というのは、
例えば、商店街の八百屋さんを例にあげると、野菜を仕入れて野菜を売る、という商売なので経費は野菜の仕入れの金額とわかりやすいですが、
芸能人の場合、テレビに出演する際に着用するブランドの服の購入代金や話のネタのための旅行代金など、
個人的な遊びのためなのか、仕事のためなのか、が判断しづらい支出が多くあり、今回はそこを指摘されています。
 
また、2点目の「そもそも確定申告を怠っていた」というのは、
日本では申告納税制度という自らが自分の所得を計算して申告・納税するという形式になっているのにも関わらず、
申告・納税していなかったということになります。
 
今回のように、本来節税のために株式会社を設立したにも関わらず、申告自体を怠ってしまうケースは、稀ですが、
申告が必要であったのにそのことを知らず無申告として指摘されることは誰にでもあり得ることです。
例年にはないような臨時的な収入などがあった場合には、税理士等に相談されてみてはいかがでしょうか。
 
森山享亮
 
 
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