「知」の結集 ゆびすいコラム

2019.11.22

【国税庁公表】法人税等の調査実績の概要

国税庁は11月8日、法人税等の調査実績の概要を公表しました。

これは国税庁が毎年秋から冬頃に発表しており、前年の税務調査件数や、調査内容などをまとめたものです。
公表されている内容には、現在国税庁が力を入れて取り組んでいる事項についてもまとめられておりますので、今回はその取組事項を紹介します。
 
公表された資料によりますと国税庁は下記の3点を重要論点としています。
 
1、海外取引法人等に対する取組
2、無申告法人に対する取組
3、消費税還付申告法人に対する取組
 
ちなみにこれら3項目は昨年とほぼ同様の内容となっています。
そのため昨年だけの重点取組というよりも近年の重点取組と考えて良いでしょう。
 
1、海外取引法人等に対する取組
経済のグローバル化によって海外取引は年々増加しています。
海外取引は文化や法律、あるいは課税関係等が異なる他国との取引となり、国内取引よりも複雑化する傾向があります。
この複雑な取引を利用して不正な経理を行う事業者がありため、詳細に調査するようにしているようです。
なお、近年は他国との情報交換制度が整えられておりますので、国際間の税に関する情報共有は容易になっております。
 
2、無申告法人に対する取組
無申告法人とは事業を行っているにも関わらず申告手続きを怠っている法人をいいます。
ちょうど先日、芸能人の方の無申告がニュースになっておりましたので記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
当然、事業を行う法人は申告と適正な納税を行うことが義務づけられています。
国税庁としては無申告法人を放置することで税収が減少するとともに、国民の公平感を損なうことになってしまうため、積極的に調査に取り組んでいるようです。
 
3、消費税還付申告法人に対する取組
事業者における消費税納付額は収入に係る「預かった消費税」と経費等に係る「支払った消費税」の差額の精算となります。
そのため、一般的には預かった消費税額の方が上回り、税務署等へ納税を行うことになります。
しかしながら例外もあります。
例えば輸出業を営む事業者は、売上に対しての消費税は輸出のため免税となるものの、仕入ついては国内で購入するので消費税を支払うことになります。
そうすると、「預かった消費税」よりも「支払っている消費税」が上回りますので、差額については税務署等へ還付の請求をすることになります。
このように確かに還付になる場合もあるのですが、この計算方法を利用し、虚偽の申告をすることで不正に還付を請求する法人が見受けられるようです。
近年、厳正に調査が行われ追徴税額は減少傾向にありますが、国税庁はまだまだ主要論点として取り組んでいることが今回の資料で明らかとなりました。
 
 
今回発表された資料では上記の3項目が主要な取組事項として紹介されていますが、実際にはいろんな視点から様々な論点を調査されます。
このようにいうと不安を感じられるかもしれませんが、適正に申告と納税を行っていれば何も恐れることはありません。
 
もし申告や納税についてご不明な点や不安な点がございましたら、お気軽に私たちゆびすいグループにご相談ください。
 
堺OF 中村圭吾
 
 
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