「知」の結集 ゆびすいコラム

2021.08.24

オリンピック報奨金と税金

2020年東京オリンピックの日本のメダル獲得数は金27個、銀14個、銅17個の計58個となりました。この数字は過去最多であった2016年のリオデジャネイロ大会の41個を大きく上回ります。まさにメダルラッシュでしたね。コロナ禍の中、会場に駆けつけての応援は残念ながらできませんでしたが、多くの方がテレビの前で連日応援されていたのではないでしょうか。
 
オリンピックのメダル獲得に関連して各国のメダル獲得者への報奨金事情も話題になっていましたが、調べたところシンガポールが一番高額で金メダリストに対しては73万8,000ドル(約8040万)!の報奨金が支給されます。
その他の国でもアジア諸国は報奨金の支給が高額な傾向があり約6000~7000万円台、欧州は平均して約2000万円台となっているそうです。
一方日本はどうかというと、
【オリンピック競技大会】(JOCから支給)
 金:500万円 ※2016年リオ大会より、300万円から引上げ
 銀:200万円
 銅:100万円
【パラリンピック競技大会】(JPSAから支給)
 金:300万円
 銀:200万円
 銅:100万円
 となっています。報奨金だけ見ると低いような気もしますが、実際はオリンピック委員会(JOC)からの支給だけでなく、競技団体や所属企業・スポンサーなどからの報奨金がある競技も多いため、特別低いというわけではないようです。またイギリスのように報奨金自体ない国もあります。 
 
では、このオリンピック委員会から支給される報奨金はどのような税金の取扱いになるでしょうか。
一般に、賞金などは所得税法上「一時所得」に分類され課税対象となりますが、JOCから贈られる報奨金に関しては、所得税法第9条第1項第14号において非課税所得に該当することが明記されています。
 
もともとは、一般的な賞金の取扱い同様、オリンピックの報奨金についても所得税の課税対象でしたが、1992年のバルセロナオリンピック200M平泳ぎで金メダルを獲得した当時14歳の岩崎恭子選手に対し支給されたJOCの報奨金が一時所得に当たるとして課税されたことがきっかけともいわれています。その後平成6年の税制改正で租税特別措置法にJOCからオリンピックメダリストに支給される金品を非課税とする旨の規定が設けられました。
 
税金に関わらず制度の背景を調べると、こんなことがあったのか!という発見が出来て面白いですね。
 
高瀬公子
 
 
税 金