「知」の結集 ゆびすいコラム

2021.09.02

社会福祉連携推進法人の創設について

社会福祉法人間の新たな連携方法として「社会福祉連携推進法人」が創設されることとなり、2021年8月現在、その運営方法が検討会にて検討・決定されています。
 
今回は、第5回 「社会福祉連携推進法人の運営の在り方等に関する検討会」2021年4月26日にて示された内容についてご説明させて頂きます。
 
まず、概要として社会福祉連携推進法人とは、
 
社会福祉法人間の連携方法として
以前は、「社会福祉協議会や法人間の緩やかな連携」か「合併、事業譲渡」のみでしたが、
 
同じ目的意識をもつ法人が、独立性を保ちながら連携し、規模の大きさを活かした運営が可能となることを目的としています。
 
具体的には、
社会福祉法人が社会福祉連携法人の社員(※)となって、
社会福祉連携法人は、次の6業務の中から一つ以上の業務を行い、
社員となった社会福祉法人に対し、社会福祉に係る業務の連携を推進する
というものです。
※社員とは、法人運営に係る重要事項の議決機関であり、イメージとしては「会員」に近い形になります。
①地域福祉支援業務
 : 地域貢献事業の企画・立案、地域ニーズ調査の実施、ノウハウ提供等
②災害時支援業務
 : 応急物資の備蓄・提供、被災施設利用者の移送、避難訓練、BCP策定支援等
③経営支援業務
 : 経営コンサル、財務状況の分析・助言、事務処理代行等
④貸付業務
 : 社会福祉法人である社員に対する資金の貸付け
⑤人材確保等業務
 : 採用・募集の共同実施、人事交流の調整、研修の共同実施 等
⑥物資等供給業務
 : 紙おむつやマスク等の物資の一括調達、給食の供給等
 
今回のとりまとめで決まった事項の中でも
④貸付業務について決まった内容のうち一部を取り上げたいと思います。
 
<貸付業務に関するルール>
・ 貸付け毎に所轄庁の認定が必要
・ 原資提供社員→連携推進法人→貸付対象社員への貸付金の振込は同日に行う。
・ 金利の設定 : 高利でない適正な利率(無利子を含む。)
※原資提供社員→利息(A)→連携推進法人→利息(B)→貸付対象社員として、AとBの利息が同金利であることは不要。
 
<貸付原資提供社員のルール>
・ 貸付け原資の上限額 : 原資提供社員(社会福祉法人)の直近3カ年度の本部拠点の事業活動計算書における当期活動増減差額の平均額
※ 上限額の範囲内であれば、複数の社員に対して、同時に複数の貸し付けを行うことができる。
・ 貸付金原資を調達する目的で、金融機関等からの借り入れ、資産の売却を行わない。
 
<貸付対象社員のルール>
・ 貸付金の使途 : 社会福祉事業の継続に最低限必要と認められる使途でかつ返済が見込まれやすいものに限定される。
※例として、貸付対象社員が行う社会福祉事業の安定的な運営に必要な改修や職員の人件費(役員等及び役員等の近親者を対象とする報酬は不可) 
・ 複数の社会福祉連携推進法人から同時に貸し付けを受けることはできない。
 
以前、社会福祉連携推進法人を通じて、他の社会福祉法人へ貸し付けた原資は、控除対象財産となる方針が示されていましたが
今回の検討会において、「社会福祉充実財産の控除対象財産とはならない」こととされました。
 
社会福祉充実計画の策定内容に悩み、その一案として検討されていた法人様におかれましては大きな方針変更となっています。
 
その他、貸付業務だけでなく他の連携推進業務や、社会福祉連携推進法人の法人運営に関しても多くのことが決定されました。
詳しい内容につきまして、今後弊社主催セミナーにて説明をさせて頂く予定です。
ご興味のある法人様には、ぜひご参加いただければ幸いです。
 
公益法人事業部 中川 裕香
 
 
教育・福祉事業