「知」の結集 ゆびすいコラム

2021.11.22

電子帳簿保存法の改正(令和4年1月1日施行)

 今回は令和4年1月1日から始まる電子帳簿保存法について記載いたします。
 
 電子帳簿保存法とは、従来紙で保存していた帳簿や取引関係書類をPDFなどの電子データで保存することを国が認める制度です。
 電子帳簿保存法は、電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引保存の3種類について規定されています。
 従来は事業者の選択制でしたが、令和3年の法改正により、令和4年1月1日以降の電子取引については電子データ保存が義務化されることとなりました。
 
 電子取引とは、発行、受領が電子の取引を指し、いわゆる紙で請求書・領収書などが発行されない取引全般になります。
 
例)
・電子メールで請求書・領収書のPDF
・インターネットのホームページから請求書・領収書をダウンロードするもの
・従業員の立替経費の領収書が電子データのもの(アマゾンなどのネット通販) 
 
 また単純に電子データを保存すれば良いものではなく、下記要件を満たし保存する必要があります。
(1)真実性の確保
(2)検索性の確保
(3)見読性の確保
(4)関係書類の備え付け
 
 では、公益法人にはどのような影響があるのでしょうか?
 
 法人税法上の収益事業を行っている公益法人の場合、収益事業にかかる電子取引について特に留意する必要があります。
※法人税法上の収益事業についてはゆびすいコラムの「学校法人の収益事業について」(2021.7.9)で概要を記載していますので一度ご確認ください。
 ただし、行政監査では電子取引であっても、書面提出が原則であると思われますので、収益事業にかかるものであっても書面の提出が必要です。
 そのため、収益事業を行っている公益法人については、紙及び電子データの両方を保存する必要があるということになります。
 
ちなみに、
「電子データの一部を保存せずに書面を保存していた場合には、その事実をもって青色申告の承認が取り消され、税務調査においても経費として認められないことになるのではないか」
と心配された方もいらっしゃると思いますが、
「その取引が正しく記帳されて申告にも反映されており、保存すべき取引情報の内容が書面を含む電子データ以外から確認できるような場合には、それ以外の特段の事由が無いにも関わらず、直ちに青色申告の承認が取り消されたり、金銭の支出がなかったものと判断されたりするものではありません。」
と国税庁より公表されています。
 
とはいえ、今後電子化は進んでいくものと思われますので、一度ご自身の法人ではどういった電子取引があるのか把握されてみてはいかがでしょうか?
 
大阪事業部 大谷 侑輝
 
 

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