「知」の結集 ゆびすいコラム

2023.10.17

水族館のイルカは固定資産

 先日水族館に行った際に、水族館にいる生き物たちの会計上の取り扱いが気になったのでまとめてみました。
 
 結論から言いますと、観賞用・興行用のイルカやアザラシなどは「器具・備品」として固定資産に計上されます。耐用年数は魚類が2年、鳥類は4年、その他のものが8年となっています。イルカやクジラは哺乳類なので8年ですね。今後9歳を超えたイルカを見かけたら、「この子の帳簿価額はほぼ0なんだな」と思ってしまいそうです。単価が10万円未満の魚の場合はよりシュールで、基本的に「消耗品」として損金算入となります。
 また、固定資産に計上される生物については、固定資産税も課税されます。
 
 
 関連して、牛や馬など繁殖用の生物等の取り扱いも調べてみました。観賞用の生き物が器具・備品のカテゴリーの中の「生物」として計上されるのに対して、繁殖用の牛馬などは生物というカテゴリーの中の「牛」、「馬」として計上されます。耐用年数の決め方も異なり、例えば、役肉用牛は6年、乳用牛は4年など細かく設定されています。
 生まれた幼体の取り扱いが特殊で興味深いです。一般的な処理では、種付費や出産費、または成育までの飼料費、労務費及び経費などの諸経費の累計額が、一時的に育生家畜勘定に計上されます。そして、成長して営業のために使用されるようになったときに、家畜などの適当な固定資産に振り替えられます。
 
 
いかがでしょうか。水族館に行ってイルカの耐用年数が気になる人は少ないと思いますが、会計に携わる人間からすればなかなか面白いテーマです。皆さんも水族館に行く機会があれば、お気に入りの生き物の耐用年数が何年か調べてからいくと、マニアックな楽しみ方ができるかもしれませんね。
 
難波 律
 
 

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