2023.12.13
12月6日付けて、こども家庭庁から今年度の公定価格の変更が出ました。世に言う人勧と呼ばれる内容となります。
そもそも公定価格の単価は、100分の20地域・その他地域など、地域によって異なりますが、これらは公務員の給与をベースに設定された金額となっています。
そして、その公務員の給与のベースを民間と比較して毎年どれだけ上げるかを決めるのが人事院であり、その人事院からの勧告を人勧と略して呼んでいます。
この夏、人事院からは過去30年で最高レベルの人勧が出ておりました。これは過去数年コロナの影響でマイナス人勧が出た事や、政府の賃金水準を上げていくという政策に則った方針となります。
これを受けて、公定価格の変更もかなり大きな数字になる事が予測されていましたが、今回R5年度はなんと5.2%のUPとなっています。
過去の水準で見ても、昨年R4年度が1.2%、R3・2年は0%という水準でしたので今回がいかに大きいかがお分かりになるのではないでしょうか。
公定価格の上昇は、園様にとって喜ばしいことですが、その分処遇Ⅰの一時金が非常に大きな額になると言えます。そもそも処遇Ⅰの総額が6%(経験年数が長ければ7%)ですので、5.2%となると、現状の総額(6%)に近しい額を一時金として拠出する必要があります。
(※)現状の総額が6%の場合、5.2%分は5.2÷6≒86%程度
(※)現状の総額が7%の場合、5.2%分は5.2÷7≒74%程度
自治体の計算が間に合えば良いですが、年度末の精算分、つまり人勧の精算分が4月を跨ぐ自治体も多く、そのような自治体では、入金はまだですが、支出する必要はあるという事になってしまいかねません。
もちろん処遇Ⅰですので、残額計上をして次年度に持ち越す事も不可能ではありませんが、あまりに多額の持ち越しをすると、決算上の見栄えや年度毎のバランスも崩れます。
検討していただく事は非常に多くなりますが、ここは一旦上記の86%や74%を参考に各施設様とも、今年の処遇Ⅰの賃金改善分の約60~70%程度の金額を原資として配分される計画を検討されてはいかがでしょうか?
最後になりますが、12月6日付けのこども家庭庁からの事務連絡では、各都道府県に向けて、「各市町村においては、今般の影響額を算定し、各施設・事業者にすみやかに通知すること」という記載があります。これは例年通りの記載とはなっているのですが、ポイントとして、「自治体が金額を通知してね」と明確な記載がある事が言えます。ゆびすいでは全国の数多くのお客様の処遇改善を御支援しておりますが、自治体によっては「処遇改善の金額は園で計算して下さい!」と言い切ってくる自治体があります。
この作業に非常に工数が取られます。私共の御支援先はまだ良いですが、公定価格を分解して必要な箇所の単価だけを集めて、園児数とかけて・・・各園様共に非常にご苦労されると思いますので、そのような場合は思い切って、上記条文を持ち出して、「自治体で計算して下さい」と相談されてはいかがでしょうか?
とは言え、自治体が計算結果を通知してきたが、よく見るとそれが間違っている・・・というような事例も見た事がありますので、ある程度の知識は備えておいていただいた方が良いとも思います。
非常にややこしい処遇改善等加算制度や人勧ですが、ゆびすいでのサービスもございますので、ご不明点はお問合せ下さい。
経営コンサルティング事業部
石川 泰令