令和7年度のお盆休みは最大で9連休となり、旅行に出かけられた方も多いのではないでしょうか。
企業によっては、長年勤務された従業員に対して旅行券を支給するケースもあるかと思いますが、所得税法上、給与などの金銭の支給に加え、会社が従業員に提供する経済的利益も、原則として給与課税の対象となります。
ただし、一定の要件を満たす場合には、課税対象とならないことが定められています。
まず、永年勤続者に支給する旅行・観劇への招待費用は以下の場合には給与として課税されない取扱いとなっています。(所得税基本通達36-21)
①支給する旅行や観劇への招待費用の額や記念品が勤続期間等に照らし社会通念上相当と認められること。
②おおむね10年以上の勤続年数の者を対象とし、かつ、2回以上表彰を受ける者は、おおむね5年以上の間隔をおいて行われるものであること。
では、旅行券を支給した場合はどうなるでしょうか。
一般的に、旅行券は有効期限もなく、換金性もあり、実質的に金銭を支給したことと同様になりますので、原則として給与等として課税されます。
ただし、以下の要件を満たす場合は、給与課税の対象としなくてよいとされています。
①旅行の実施が支給後1年以内であること
②旅行の範囲が支給額からみて相当なものであること
③旅行の実施後に旅行日や旅行先、旅行会社等への支払額などを記入した報告書等を会社に提出すること
④支給後1年以内に旅行券の全部又は一部を使用しなかった場合には未使用分の旅行券を会社に返還すること
例えば、旅行用途に限定された金券や、掲載内容が宿泊施設や観光プランに限定されているカタログギフトを支給する場合は、上記の要件をすべて満たせば給与課税の対象外となります。一方で、グルメや日用品など旅行以外の物も選べるカタログギフトなど、選択性が乏しいと認められない場合は、支給された金銭で品物を購入したことと同様の効果をもたらすため、給与課税の対象となると考えられます。
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大阪事業部 山本