個人事業主などが利用する「青色申告特別控除」が、令和9年分の所得税(令和10年3月15日期限となる確定申告)から見直されます。
これまで、最大65万円の青色申告特別控除を受けるためには、複式簿記による記帳、貸借対照表・損益計算書等の添付、期限内申告に加え、e-Taxによる申告などの要件を満たす必要がありました。
令和9年分からは、これらの要件を満たしたうえで、さらに「優良な電子帳簿の保存」または「デジタルシームレス保存」のいずれかの要件を満たすことで、75万円の青色申告特別控除を受けられるようになります。
今回は、75万円控除を受けるための追加要件の一つである「デジタルシームレス保存」について解説します。
「デジタルシームレス保存」とは?
デジタルインボイスや預貯金口座の決済データといった電子取引データについて、国税庁長官が定める基準に適合するシステムを使用し、データの送受信から保存、帳簿への記録までの一連の処理について、その適正性を確保する仕組みです。
対象となるシステムは、以下のいずれかの電子取引データを一定の要件に従って保存できるものとされています。
・デジタル庁が管理する仕様に従ったデジタルインボイス
・預貯金口座における決済データ
保存にあたっては、次の要件を満たす必要があります。
(1)データの訂正・削除履歴が残る、または訂正・削除できない仕組みにより、改ざんを防止すること
(2) 電子取引データの金額の訂正・削除を行ったうえで電子帳簿に記録できないようにする、または訂正・削除した事実を確認できるようにするなど、記帳の適正性を確保すること
(3)電子取引データと電子帳簿との関係を相互に確認できるようにし、両者の関連性を確保すること
さらに、税務職員から求められた際に、対象となる電子取引データを確認できる状態にしておく必要があります。
ここで注意したいのは、単に請求書等を電子データで保存しているだけでは、「デジタルシームレス保存」には該当しないという点です。対応するシステムを使用し、上記の要件を満たした形で電子取引データの送受信・保存等を行う必要があります。
また、適用を受ける年分の確定申告期限までに所定の届出書を税務署へ提出する必要があります。
今回の改正では、単に「75万円控除が新設された」というだけでなく、取引から記帳・保存、申告までの電子化がより重要になります。
会計ソフト等を利用していても、データの連携・保存方法を確認したことがない方は、早めに現在のシステムや運用方法を確認しておく必要があります。