消費税では、社会政策的な配慮から一部の取引については非課税とされています。
その中の一つに、身体に障害のある方の自立や日常生活を支援するための「身体障害者用物品」に関する取引があります。
1. 身体障害者用物品の非課税制度の基本
消費税法において、身体障害者の使用に供するための「特殊な性状、構造又は機能を有する一定の物品」の譲渡、貸付け、製作の請負、および一定の修理については、消費税が非課税とされています。 これらは単に「障害者が使うもの」というだけでなく、厚生労働大臣が指定した特定の要件を満たすものに限られます。
2. 非課税となる主な物品の具体例
・車いす(手動式・電動式。ただし、シャワーチェアなどの屋内用のキャスター付き椅子は対象外)
・福祉車両(身体障害者本人が運転するための手動装置等の補助手段が講じられた自操式車両または車椅子の移動に特化した車両)
・義肢及び装具、義眼、盲人安全つえ
・補聴器、人工喉頭、ストマ用装具
・ 点字器、視覚障害者用拡大読書器、盲人用時計など
3. 事業者における実務上の留意点
間違いが起こりやすいのが、「非課税となる物品」と「関連するパーツ・消耗品」の取り扱いの違いです。どのような取引形態で提供されるかによって課税・非課税が分かれるため、以下の基準で厳密に整理しておくことが重要です。
本体に付属する場合:非課税対象の物品にあらかじめ取り付けられ、常時一体として使用される標準的な付属品や一体化された装置は、本体価格とあわせて非課税となります。ただし、単に同時販売されるだけでは非課税とは限りません。
部品単体で販売される場合:交換用の専用パーツや補充用の部品を「単体」で販売・譲渡する場合は、たとえそれが非課税物品の専用パーツであっても課税取引となります。修理を行う際も同様で、非課税対象物品本体の修理費用は非課税となりますが、一部を構成する部分の修理や部品の交換費用は課税となります。
このように身体障害者用物品の消費税非課税制度は、取引の内容によって判断が分かれる場合があります。実務においては、非課税の要件と取引形態の確認、そして根拠となる証憑の保存が大切になります。