「知」の結集 ゆびすいコラム

2026年度の最低賃金が引き上げへ ― 事業主が確認しておきたいポイント

毎年見直しが行われる地域別最低賃金ですが、2026年度も全国的に大幅な引き上げが決定しました。
2026年度はすべての都道府県で最低賃金が引き上げられ、引き上げ額は54円~65円となっています。地域別の最高額は東京都の1,280円、最低額は宮崎県の1,085円となりました。

最低賃金の発効日は全国一律ではありません。2026年10月1日から12月2日までの間に、都道府県ごとに順次発効します。事業所に適用される最低賃金額と発効日を確認し、改定後の賃金が最低賃金を下回っていないか、あらためて確認しておきましょう。

【そもそも「最低賃金」とは?】

最低賃金とは、使用者が労働者に支払わなければならない賃金の最低額を、法律に基づいて定める制度です。

対象となるのはパート・アルバイトだけではなく、正社員や契約社員などを含め、原則として雇用形態にかかわらず適用されます。そのため、最低賃金が大きく引き上げられた際には、時給者だけでなく、月給者についても最低賃金を下回っていないか確認することが大切です。

また、仮に労使双方が最低賃金を下回る金額で合意していたとしても、その合意によって最低賃金を下回ることはできません。最低賃金に満たない部分については無効となり、最低賃金額との差額を支払う必要があります。
地域別最低賃金以上の賃金を支払わなかった場合には、最低賃金法により50万円以下の罰金が科される可能性もあります。

【最低賃金を確認するための換算方法】

実際に支給している給与のすべてが計算に含められるわけではありません。
基本給のほか、毎月支払われる手当などは原則として最低賃金の対象となりますが、次のような賃金は最低賃金の計算から除外します。

【最低賃金の計算に含めない主な賃金】
・結婚手当など、臨時に支払われる賃金  
・賞与など、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金  
・時間外労働、休日労働、深夜労働に対して支払われる割増賃金  
・精皆勤手当  
・通勤手当  
・家族手当  

たとえば、「基本給+通勤手当」の合計額では最低賃金を上回っていたとしても、最低賃金の計算では通勤手当を除外するため、結果として最低賃金を下回るケースも考えられます。
また、最低賃金の計算に含まれるかどうかは、手当の名称だけではなく、実際の支給内容を踏まえて判断する必要があります。

【主な計算方法】
・時給制:時給額をそのまま比較  
・日給制:日給額 ÷ 1日の所定労働時間  
・月給制:最低賃金の計算対象となる月給額 ÷ 1か月平均所定労働時間  
・歩合給:歩合給 ÷ 賃金算定期間における総労働時間  

複数の賃金形態を組み合わせている場合には、それぞれを時間額に換算したうえで合計し、最低賃金額と比較します。

最低賃金の引き上げに伴い、これまで最低賃金を上回っていた従業員についても、改定後は最低賃金との差が小さくなっている場合があります。繰り返しとなりますが、パート・アルバイトなどの時給者だけでなく、月給者も含めて、現在の賃金設定に問題がないか確認しておきましょう。

最低賃金の計算方法や対象となる手当の判断に迷われる場合は、社会保険労務士などの専門家へご相談ください。
 

2026.10.28

社会保険労務士法人ゆびすい労務センター

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