「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.03.18

税金の本

 税金の本は、我々専門家しか読まないようないわゆる専門書からサラリーマン向けのものまでさまざまなものがあります。

 確定申告時期になれば、「サラリーマンのための還付を受けるための確定申告」といったタイトルの本が本屋に平積みされます。この辺は手にした事のある方も多いかと思います。

 個人の申告も終わると今度は、企業向けに決算や法人の申告関連の本が増えてきます。3月決算の会社の申告が始まるからです。

 税理士向けといえば、「役員給与」関連の本がずいぶん多いことに気付きます。

 平成18年に役員給与の支払に関する法人税の大きな改正があり、役員給与を支払う際の条件や支払額の変更の取扱いが大きく変わっただけでなく、法令上の解釈が難しくなったのです。

 試しに、税理士に対し、「業績が悪化したので役員の給与を減額したいのですが」と聞いてみれば、税理士は一瞬固まってしまいます(笑)。固まっている間は、条文や通達、国税庁からの情報が頭をぐるぐる回っているのです。

 役員給与を減額するだけで1冊の本ができてしまうほどの解釈が必要になっているのです。この辺は税法独自の理屈があるのですが。

 今は「事業承継税制」関連の本が多いです。21年度税制改正の目玉になっている項目です。

 実はこういった本が増えた要因には、課税庁が積極的に情報開示をするようになったことも影響しているようです。

 最近はインターネットの国税庁HPでしょっちゅう、質疑応答やQ&A形式での情報が開示されていますので、これらを収録し解説するだけで本が書けてしまうのです。

 思わぬところで税理士の飯のタネが増えているのですね。

(税理士:白井一馬)