「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.06.11

価値観を変える時代

 日本の円安政策が、いわゆる"円安バブル”を生み、それが円キャリートレードをいわれる取引を発生させ、結果的には世界的な資産バブルの一つの要因となったといわれています。

 日本の経済を牽引するのは輸出企業であり、輸出企業には円安が有利なため、円安政策をとってきたわけですが、これも最終的にはGDPの成長を達成するためです。

 でも考えてみれば、人口が減少していく成熟した先進国でなぜ、GDPの成長を目標とすべきかといえば、誰にも答えられないんじゃないかと思います。

 ウォール街で投資銀行を経営する神谷秀樹氏の次の考えに共感しました。

   2008年1月に太田弘子前経済財政担当大臣が「日本は『経済は一流』と呼ばれる状況ではなくなった」という発言を残念そうにしていましたが、何を持って経済が一流というのか。GDPの成長率なのか、GDPの大きさなのか。彼女はそれについてきちんと定義づけをしていません。私にいわせれば、GDP自体が幻想なんですよ。

(神谷秀樹 小幡積 世界経済はこう変わる 光文社新書)  円高こそが日本にとっての国益であるという意見も最近多く聞かれます。特に日本のような資源や食料を輸入に頼る国では、円高が有利なことは間違いありません。

 新たな価値観の構築。これが今の日本に求められているように思います。

(税理士:白井一馬)