税理士のような専門家にとって、知識を得ることは、販売業にとっての商品仕入と同じであるといえます。
税理士は次のようなところから情報を得て勉強しています。
1.税制改正
税法は毎年改正されますので、毎年毎年が勉強です。またその動向を税法専門情報紙や新聞でも把握するよう心がけています。
2.通達
国税庁から発遣される税法の解釈指針です。これは法令ではありません。例えば、法律で「著しく低い額」という表現がされている場合、通達では「著しく低い額というのは、だいたい50%未満と解釈してもらっていいよ」というような具合で定められています。
法令を厳格に解釈することだけを求めていては実務や税務調査は、かえって非効率になります。そこで通達を法令と実務の間にあてはめることで、実務を円滑に進める役割があるわけです。
3.税務当局が執筆した書籍
国税局の職員が執筆したとなれば、実務家としては無視できません。また、それが実務で疑問となっている部分を明確に解説しているとなるとすぐに使える知識にもなります。
4.週間税務通信
これは税理士にとっては購読しているのは半ば常識といえるほどメジャーな税務情報紙です。電車でこれを呼んでいる人がいれば税理士率は95%です。
税理士というのは基本的に知識を得ることが好きな人種です。新しい通達が出るのを一番楽しみにしているのは実は税理士という皮肉もあるほど。
しかし専門家であるからには知識を得る以上に大切なのは、知識と知識をあわせ、そこに知恵を加味することから生まれるアイデアです。これは経験と日々の思考とさらには人間的感性を磨くことによってしか生まれないのだと思います。
(税理士:白井一馬)