「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.09.18

協力社会

 映画化され大ヒットした「リング」の原作者である作家の鈴木光司氏によれば、社会は決して「競争社会」ではなく「協力社会」なのだそうです。企業であれ、スポーツであれ、選挙であれ、やっていることの99%は協力関係であり競争は1%しかない。

 なるほどね。

 企業の業務を考えてみれば、営業マンが仕事を受注し、経理部門がそれを事務処理し、売掛金を回収し、購買担当者が仕入れを発注する。これらの業務に携わっている社員が目の前の仕事をこなしている瞬間に、「どうすればライバル企業を出し抜けるか」なんて考えるはずもなく、ただ目の前の仕事をこなすために他の社員と協力しているだけです。

 税理士の仕事もそうだ。税務署の用意した情報を利用し、書類もネットから利用し、税務申告する。税務署は、それを受理し、徴税業務を行う。

 考えてみれば税務調査で意見が相違し、争う場面なんて業務に占める割合で考えれば1%もない。

 そう考えれば、社会の構成員であるためには、協力関係を理解している必要があることになります。それはつまり、社会の仕組みを理解するということでもあると思うのです。

(税理士:白井一馬)