「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.10.13

日本経済を家族に例えれば

 今の日本を家族に例えるとこんな感じでしょうか。

 家計(財政)は赤字続き。

 ただし、お父さん(企業)、お兄さん(平均的国民)は結構稼いでいる。

 なので、一家としてはかなりの財産をもっている。

 一方、弟(経済的弱者)は働かず収入がほとんどない。

 お母さん(財務省)は、お父さんとお兄さんに家計にもっとお金を入れるようにたのんでいるが(増税)、お父さんとお兄さんは、お母さんの「ムダ使い」が許せないとして、これを拒否。やむなくお父さんとお兄さんから借りて(国債発行)家計をやりくりしている。

 ただ、家計の赤字は毎月20万円、お母さんのムダ使いは数千円程度の話。桁が違っている。ムダ使いをやめたところで赤字をなくすのは不可能。

 働いていない弟の生活費も必要なのだが、お父さんとお兄さんは「そんなのは自己責任だ」として、突き放している。

 昔はお父さんもお兄さんも十分なお金を家計に入れてくれていたのだが、将来不安からか、家族の雰囲気も変わってしまった―――  日本のGDPは現在でも世界2位。国民全体の純資産も世界トップレベル。国全体としてはまだまだ豊かなのではないでしょうか。しかし豊かさを実感できず、将来不安、格差拡大が問題になっているのが、日本の現状です。

 少子高齢化によりこれまでのような経済成長が見込めない今、是々非々の改革を進めるには、富の再分配をどうするのかという現実を向いた議論が必要なのでしょう。

(税理士:白井一馬)