「知」の結集 ゆびすいコラム

2010.06.08

IFRS(国際会計基準)の決算書

何かと話題になることが多いIFRSですが、主に上場会社に適用される制度で、金融庁では非上場会社については「将来的にも強制適用は全く想定されていない」と発表しています。

また、日本は2012年に上場会社に強制適用するかどうかを判断し、強制適用が決定すれば2015年か2016年には実施されるようです。

それでは、IFRSの決算書はどのように表示するのでしょうか? 日本基準の決算書と比較してみます。

  日本基準                IFRS基準   売上                  売上    売上原価                売上原価   売上総利益               売上総利益    販管費                 販管費   営業利益                 その他営業収益    営業外収益               その他営業費用    営業外費用              営業利益   経常利益                 金融収益    特別利益                金融費用    特別損失               税引前当期純利益   税引前当期純利益             法人税等    法人税等               当期純利益   当期純利益                その他包括利益                         包括利益 太字のところが主に日本基準と異なる点です。

細かい会計基準では色々異なる点もあるようですが、決算書の表示で異なる点は主に3つです。

1、包括利益   最も注目されている点といってもいいでしょう。簡単にいうと、純資産の増減分のことです。増減額を包括利益として決算書に反映させます。そのため、資産を時価評価して損益を計上する必要があります。

2、その他営業収益・その他営業費用   日本基準の「営業外収益・営業外費用」を営業に関わるものとそれ以外のものに分けます。営業に関わるものを「その他営業収益・その他営業費用」として表示します。

また、日本基準の「特別利益・特別損失」も「その他営業収益・その他営業費用」として表示します。

3、金融収益・金融費用   日本基準の「営業外収益・営業外費用」を営業に関わるものとそれ以外のものに分けます。営業に関わらないものを「金融収益・金融費用」として表示します。

これらが主に日本基準と異なった表示の仕方をするものです。「経常利益」がないことも大きな特徴です。

IFRSは現在進行形で様々な話し合いが行われている最中です。

非上場企業については、今の所強制適用はなさそうですが、日本基準がIFRSに近くなっているので、徐々に影響が出るのではといった意見もあります。

いずれにせよ、今後の動向が気になりますね。

(上田純也)