10月中旬から労働局が最低賃金の改定を始めました。
民主党の最低賃金1000円というマニフェストもあってか、全国的に引き上げ幅は大きいです。
最低賃金を引き上げ、格差を是正することが狙いですが、問題もあるようです。
最低賃金が上昇すれば、当然ながら企業の人件費負担は増えます。
企業が支払う費用の中で、人件費は大きなウエイトを占めています。
そのため、気にせざる得ない費用といえるでしょう。
その人件費が増えると、企業の経営を圧迫します。
そうなると、企業は人件費のカットを考えます。
給与や賞与のカット、従業員の人数を減らす、というのが対策としてあがるでしょう。
仮に、従業員が最低賃金で働くパートのみと考えます。
すると、給料は最低賃金以下に下げられないため、人件費を節約するには人数を減らさなくてはなりません。
つまり、最低賃金を上昇させることで、雇用の機会を減らすのではないかという問題が懸念されます。
また現在、高齢者や障害者を雇用することで、助成金をもらえる制度があります。
そのため、企業は助成金の額も考慮に入れ、採算の合うように人を雇います。
しかし、最低賃金が上がっても、助成金の額は上がりません。
企業の人件費負担が増えるのみです。
このような場合に雇用の機会を減らさないために、助成金なども一緒に考慮して対策が必要なのかもしれません。
雇用の維持と最低賃金の上昇を同時に行うことは、容易ではありません。
しかし、本当に格差を是正するのなら、達成する必要があるように思います。
(上田 純也)