「知」の結集 ゆびすいコラム

2010.11.02

最低賃金上昇

10月中旬から労働局が最低賃金の改定を始めました。

民主党の最低賃金1000円というマニフェストもあってか、全国的に引き上げ幅は大きいです。

最低賃金を引き上げ、格差を是正することが狙いですが、問題もあるようです。

最低賃金が上昇すれば、当然ながら企業の人件費負担は増えます。

企業が支払う費用の中で、人件費は大きなウエイトを占めています。

そのため、気にせざる得ない費用といえるでしょう。

その人件費が増えると、企業の経営を圧迫します。

そうなると、企業は人件費のカットを考えます。

給与や賞与のカット、従業員の人数を減らす、というのが対策としてあがるでしょう。

仮に、従業員が最低賃金で働くパートのみと考えます。

すると、給料は最低賃金以下に下げられないため、人件費を節約するには人数を減らさなくてはなりません。

つまり、最低賃金を上昇させることで、雇用の機会を減らすのではないかという問題が懸念されます。

また現在、高齢者や障害者を雇用することで、助成金をもらえる制度があります。

そのため、企業は助成金の額も考慮に入れ、採算の合うように人を雇います。

しかし、最低賃金が上がっても、助成金の額は上がりません。

企業の人件費負担が増えるのみです。

このような場合に雇用の機会を減らさないために、助成金なども一緒に考慮して対策が必要なのかもしれません。

雇用の維持と最低賃金の上昇を同時に行うことは、容易ではありません。

しかし、本当に格差を是正するのなら、達成する必要があるように思います。

(上田 純也)