「知」の結集 ゆびすいコラム

2010.11.04

『自炊』って言葉知ってますか?

自ら炊事を行うことだと思った方、ここではハズレです。

自炊とは手持ちの書籍・書類をスキャナー等で読み込み、PDFファイル等のデータに変換する行為を意味するスラング(俗語)です。

著作物をデータ化することや、スキャナーで読み込むためには書籍をバラバラにする必要があるため抵抗を覚える人もいますが、書籍等の電子化自体は古くから行われてきました。

近年アイフォン等の高性能な電子端末の普及により、何十冊ものデータ化した書籍を手のひらサイズの端末に納めて自由に持ち歩くことが出来るということで、この自炊行為が再注目されています。

実は税務上も自炊(に近い行為)が認められているのはご存知でしょうか? いわゆる『電子帳簿保存法』に定められる税務関連書類のマイクロフィルム等への保存です。この規定により税務上完全なペーパレスの帳簿書類保存が可能となりました。

しかしこの電子帳簿保存法、かなりの厳格な要件を求めており導入には非常にコストがかかる為、気軽に利用できるものではありません。

税務署側からすれば、書類に記載されている情報と共にそれが原本であることが非常に大切であるため、複製・加工が容易なデータ保存となると、要件の厳格化はやむを得ない部分もありますが、経団連の「2010年度規制改革要望」の一つとして要件緩和の要望も上がっていますので今後の利用のしやすい制度になることが期待されます。

電子帳簿保存法を利用して税務関連書類をデータ化するのはまだまだ敷居が高いですが、原本としての価値は無いが記載されている情報は必要、そんな書類で書架が圧迫されている方は一度『自炊』を検討されてはいかがでしょうか? (茂木大輔)