「知」の結集 ゆびすいコラム

2010.11.22

金利リスク

先日の新聞記事によると、今後、金利が1%上昇した場合、地銀が保有する国債から潜在的に発生するであろう推定損失が過去最大の約4兆円になるとのことでした。

これは、金融機関が集めてきた預金を相対的に安全な国債に振り向けおり、さらに、地銀は大手銀行に比べて残存期間の長い国債を保有する傾向にあることから、残存期間の長い国債ほど金利リスクが大きくなるので、地銀の推定損失が過去最大になったらしいです。

このような現象が生じることを理解するには、金利リスクとは何かを理解する必要があります。その金利リスクについて説明してみようと思います。

国債などの債券は、市場金利に基づいて金利をいくらにするか決めています。その金利水準によって市場での債券価格が決まります。

そして、経済理論によれば、債券価格は金利が下がれば上昇し、金利が上がれば下落します。この金利の高低によって債券価格が変化することを金利リスクといいます。

では、金融緩和策により金利が下がると、どうなるでしょうか? 将来的には金利の上昇が予測されるので、現状発行されている債券価格は下落することになります。そうすると、保有している債券に含み損が出ることになります。その国債が長期間であるほど損失額が大きくなるということです。

昨年のリーマンショックによる金融不況により金融機関でも安定運用を指向して、債券での運用比率が高まっています。

その状況下で金融緩和策を行うと、将来的には金利の上昇が予測されるので、将来に保有している債券の損失が発生するという仕組みです。