「知」の結集 ゆびすいコラム

2011.04.20

支援の形

 帝国データバンクのホームページにて公開された東日本大震災の影響と復興支援に対する企業の意識調査の結果によると  需要が減少するであろうと回答した企業は57.6%(10,747社中1,689社)  需要が増加するであろうと回答した企業は19.9%(10,747社中2,140社) と約八割の企業が何らかの影響がでると回答しています。

また、復興支援への取り組みについては約7割の企業が「支援を行っている」・「行う見込みである」・「検討している」と回答しています(10,747社中7,412社)。

 弊社のお客様も様々な形で復興支援をされていますが、その中に自社の製品を被災地に送ろうとされている法人がありました。通常、営利法人が第三者に無償で財やサービスを提供した場合は寄附金課税の問題が発生します。今回の様なケースも同様でしょうか?  答えはNOです、自社製品の提供に要する費用の額は全て損金算入されます。

法人税法では「法人が不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用の額は、寄附金の額に該当しないものとする(法人税基本通達9?4?6の4)」との取り扱いがあり、自社の製品を被災地に送る行為はそもそも寄付ではないとされ、寄附金課税の問題は生じない事になります。

また「法人が不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は、交際費等に該当しないものとする。(措置法基本通達61の4(1)?10の4)」との規定から交際費としての取り扱いからも外れることになります。

これは被災地の復興という緊急性や、経済効果の側面から見ると広告宣伝費的効果がある事からこの様な取り扱いになっています。

裏を返すと限られた特定の者への提供は寄附金や交際費と取扱われる可能性がありますので注意が必要です。あくまで不特定多数の被災者への提供である事を証明するため、送り状等を保管しておくことが考えられます。

この度の大震災で多くの方が仕事はおろか、生活の拠点をも一瞬で失ってしまいました。その心痛たるや私の想像を遥かに超えるものでしょう。その様な方々に更に頑張れと声掛けるのは少し酷ではないでしょうか。支援の形は決まっていません、企業が利益を出す事も大局的に見れば、税収の増加・雇用の創出といった復興支援につながります。

今こそ余力ある我々が出来る事を全力で実行していきましょう。

(茂木大輔)