「知」の結集 ゆびすいコラム

2011.09.08

空洞化と日本経済

近年、企業の海外進出が多くなっています。

それには、少子化による消費の落ち込み、国際競争力の強化、円高による為替リスク回避等、様々な理由があります。

つまり、企業が日本で利益を増やすのは難しい状況なので、海外にその機会を求めようとうするのが目的です。

このような動きを悲観する意見が多いのが現状でしょう。

なぜなら、税収が減る、雇用が減るなどの理由で日本経済が空洞化することを懸念しているからです。

確かに、そう思えます。

海外で稼いだ所得には海外の税金が課せられ、海外で事業をするためには外国人労働者を雇うため、日本人の雇用の機会は減ります。

しかし、マイナス面ばかりではないという意見もあります。

まず、海外は日本より法人税が安いので、手元に残るお金が多くなります。

そのため、残ったお金を日本へ送金することにより、日本での投資や研究といった部分に使うことができます。

また、海外へ進出しなければ、コスト等の面で海外企業との競争に敗れ、国内でのシェアも脅かされることになりかねません。そうなれば、税収減につながり、結果的には日本が衰退することにつながります。これを防ぐためにも、海外へ進出することには、意味があります。

それから、日本での日本人の採用は少なくなるかもしれませんが、海外での日本人雇用は増えます。

よって、海外進出は一概にはマイナス面だと言えないのです。

日本で企業が苦戦しているため、業績が悪化すれば雇用を考えなければなりません。

そのため、経営者としては業績を回復させるため、雇用を維持するため、海外へ進出するのは、おかしな選択ではありません。

海外へ行っても日本との繋がりが無くなるわけではないので、日本を捨てることにはならないように思います。

空洞化を懸念する気持ちもわかりますが、長期的には必要なことかもしれません。

(上田 純也)