「知」の結集 ゆびすいコラム

2015.08.26

株式売却にはご注意を・・・

ここ数日の間に日経平均株価が暴落し、約半年ぶりに18,000円割れとなりました。25日の終値は17,806円70銭まで下がっています。新聞やテレビなどでも大きく報道されており、株式投資を行っている方は気が休まらない日が続いているのではないでしょうか。

ちなみに今日は18,376円まで戻したようです。一安心です。

さて、株価が下がり始めると「損が大きくならないうちに売却してしまうか」あるいは「今が買い時だ。買い増しておくか」など色々と考えてしまいます。

株式の売却益には20.315%の税金がかかります。源泉徴収ありの特定口座を利用している方は、売却益に対して自動的に源泉徴収されますので、普段、税金を気にすることは少ないかもしれません。また、売却損が生じた場合はそもそも税金がかからないので気にすることはありません。

注意していただきたいのは、同一年中に売却益と売却損の両方が生じたときです。一つ、例を挙げて考えてみましょう。

M証券会社(源泉徴収ありの特定口座)でA株式を売却し、売却益が20,000円。S証券会社(源泉徴収ありの特定口座)でB株式を売却し、売却損が20,000円。

この場合、トータルの株式売却に係る損益は0円となり、納税額は出ません。しかし、A株式を売却したときに20,000円×20.315%の4,063円が源泉徴収されています。この4,063円は翌年に確定申告すると還付を受けることができます。

忘れずに確定申告をしてください。

ところで、昨年よりNISA口座が始まっています。NISA口座のメリットは、売却益や配当に税金がかからないことです。そのため、昨年から非常に注目を集めており、平成27年3月末時点で約879万口座が開設されているようです。平成28年から年間の投資上限額が100万円から120万円に増額されますので、より一層利用者が増えると思います。

しかし、「NISA口座は非課税」というメリットの一方でデメリットもあります。それは売却損が出た場合です。

先ほどの例で考えてみると、B株式を売却し、売却損が20,000円発生したS証券会社の口座がNISA口座であった場合、A株式の売却益20,000円と通算することができません。その結果、トータルでは株式売却に係る損益は0円であるにもかかわらず、4,063円の税金がかかってしまいます。

税金面だけを考えると、NISA口座で売却損を出しても意味がないので注意してください。

株式投資で資産運用を考えるのなら、賢く節税しながら進めていきたいですね。

緒方 康人