「知」の結集 ゆびすいコラム

2015.10.14

親の財産管理と相続対策

ここ数年、親の財産の管理や処分についてご相談を受けるケースが急増しています。

内容としては、その多くが ■生前贈与等で相続税対策をしたいが、親が認知症である。

■親が保有する不動産や高額の預金を自分が管理・運用または処分をしたい。

といったご相談です。

こういった親の財産に関する「子どもからの」ご相談の増加の背景には、平均寿命の延びによる高齢化の進行や、相続税の増税による税に対する意識の向上等があるものと思われます。

ところが、ご相談に来られた時には既に本人(相談者の親)が認知症になってしまっているケースも多く、そのような場合にはどうしても法定後見制度をご案内せざるを得ません。

法定後見制度を利用すると、本人の財産を減少させる生前贈与等の行為や、減少させるおそれがある投機的な投資活動はすることができませんので、相談に来られた方のご要望に沿ったご案内は難しくなってしまいます。

ただ、中には ■現在相続税対策で親から毎年生前贈与を受けているが、親が将来的に認知症等になってしまった時にはどうすればよいのか ■親が将来認知症等になってしまった時に自分が財産管理ができるようにしておきたい といった将来の不安に対するご相談もあります。

このような場合には、ご相談者様の状況に応じて、【任意後見契約】や【家族信託】等をご案内します。

任意後見契約】とは、本人が元気な(判断能力が十分である)うちに、信頼できる方(ご親族等)と契約を結んで代理権の範囲を決め、将来判断能力の低下に不安が生じた後にその支援をスタートさせる制度です。

■今は大丈夫でも、将来判断能力が低下した時のことを考えると財産管理のことなどが心配 ■判断能力が低下してきた時に、支援する人を決めておきたい。

といった方にご検討いただきたい制度です。

家族信託】とは、特定の財産を信頼できるご親族等に財産の名義を移してしまい、最初に決めた目的に従ってその財産の管理・活用・処分を託す制度です。

■2次相続、3次相続まで考慮した財産の承継を視野に入れている方 ■ご自身が認知症等になってしまった後も、継続して生前贈与等を行いたい ■その他特定の財産について管理、活用、承継等について柔軟で自由な取り決めを行いたい といった方にご検討いただきたい制度です。

家族信託は、最近の法改正によって認められるようになった制度です。

馴染みが少なくイメージしにくい信託の制度を利用しますが、遺言や成年後見制度に比べてかなり自由に契約内容を設計できますので、近年注目度、認知度ともに高まっている制度です。

どちらの制度も、ご本人の判断能力が十分にある状態でしか利用できない制度ですので、やはり「相続対策は元気なうちに!」が重要です。

親の財産管理や相続税について気になる方は、親が元気なうちに十分なコミュニケーションを取って、万全の相続対策を取って下さい。

司法書士 加賀爪 優作
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