「知」の結集 ゆびすいコラム

2016.08.10

学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について

平成25年に「学校法人会計基準の一部を改正する省令」が公布され、28年度以後、全ての学校法人が新しい基準に基づいて会計処理と計算書類の作成を行うことになりました。

今回の改正の趣旨について、文部科学省は、
「制定以来40年が経過し、社会・経済状況の大きな変化、会計のグローバル化等を踏まえた様々な会計基準の改正、私学を取り巻く経営環境の変化等を受けて、公教育を担う学校法人の経営状態について、社会にわかりやすく説明する仕組みが求められています。
こうした趣旨から、収支状況について経常的な収支と臨時的な収支が区分できるようにすること、新たに活動区分ごとに資金の流れが分かる活動区分資金収支計算書を作成すること等の改正を行うものです。」としています。

会計基準が企業会計などの基準に近くなることから、金融機関の融資を受ける際には、財務状況を説明しやすくなるなどのメリットが考えられます。
改正点の中でも、全ての法人が影響を受けるのは事業活動収支計算書(以前の消費収支計算書)です。

ここでは、収支が3つの区分となって表現されます。
 1. 教育活動収支
 2. 教育活動外収支
 3. 特別収支

学校法人の場合、多くの収支が1の教育活動に計上されることと考えられます。
では、その他の区分ではどのような収支が表現されるのでしょうか。
日本公認会計士協会が平成26年に公表している実務指針の中では次のような項目が例示されています。(抜粋)

教育活動外収支
 経常的な財務活動による収支など。
 (例)
  収入 預金、貸付金等の利息、株式の配当金など
  支出 借入金利息や学校債利息など

特別収支
 臨時的に発生する収支
 (例)
  資産売却差額、現物寄付、施設整備補助金、資産処分差額、過年度修正額、災害損失など
上記のようなものが想定されています。

尚、前年度補助金の返還額については、教育活動収支の管理経費に計上され、「特別収支」に計上されるものではないとされています。
過年度において一度確定した補助金の一部に返還があったとしても、新たな返還命令に従ったもので、過年度の修正には該当しないとのことです。


佐藤 大樹 

教育・福祉事業