「知」の結集 ゆびすいコラム

2016.08.18

教育資金の一括贈与非課税制度

相続税対策の一つに教育資金の一括贈与非課税制度があります。
当初は平成27年12月31日までの制度でしたが、平成31年3月31日まで延長されています。
この制度は30歳未満の子や孫に対して、父母祖父母から、教育資金の贈与をした場合には1,500万円まで贈与税が非課税となります。


この非課税制度の適用を受けるためには、金融機関で子や孫名義の教育資金専用口座を開設して、その口座に現金を入金する必要があります。
従って、子や孫名義の普通預金口座や定期預金口座に入金しても、この制度を使うことはできません。
さらに、この口座から自由に現金を引き出すことはできません。原則、教育費を立替て払っていただき、領収書を金融機関に持っていくことで初めて引出すことが可能となります。


最近の金融機関では予め契約時に教育費の領収書を入れる封筒を親に渡しておき、後日領収書を封筒に入れて金融機関に郵送し、金融機関が領収書の内容を確認した後、子や孫名義の普通預金口座に振り込む形をとっているみたいです。
従って、領収書をわざわざ金融機関に持っていくことはありません。また、領収書を常に郵送する必要もなく、領収日から1年以内の領収書であれば、専用口座から引き出すことが可能です。
一般的には半年分まとめて領収書を郵送するケースが多いとのことです。


この制度の注意点としましては、子や孫が30歳になった時点で口座に残っている残額に対し贈与税が課税されてしまいます。
この制度は必ず1,500万円を贈与する必要はありません。あくまで限度額が1,500万円ですので、500万円でも1,000万円でも適用できます。
さらに、平成31年3月31日まででしたら、何回でも追加で贈与することは可能ですので、最初は使いきれそうな金額を贈与していただき、足らなければ追加で贈与することも検討してみてはいかがでしょうか。

ちなみに、平成28年3月末までの間に約16万件この制度が利用されています。1回当たりの金額が680万円程ですので、限度額まで贈与されている方は少ないようです。
幼稚園から大学卒業まで全て公立の学校に通ったとしても約1,000万円程の教育費がかかると言われていますので、是非この制度の活用を考えてみてください。


相続専門部 山﨑 裕也 
相 続