「知」の結集 ゆびすいコラム

2017.12.08

所得漏れ・所得隠し・脱税の違い

 最近、S社が報道で「申告漏れ総額62億円で全体の追徴税額は17億円。そのうち、所得隠し1.4億円で重加算税を含めた追徴課税4,500万円」と報道されていました。このように新聞やニュースでよく「申告漏れ」、「所得隠し」、「脱税」という言葉を目にしますが、それぞれニュアンスが違うことは知っていますか?

 ポイントは、故意性があるかどうかです。

1、申告漏れ

 申告漏れは、経理上の単純な計算ミスなどが原因で税金の計算を間違えたケースをいいます。この場合、追徴課税は「過少申告加算税」、「無申告加算税」、「不納付加算税」のいずれかと「延滞税」を指します。 

2、所得隠し

 所得隠しは、故意に税金を減らす行為をいい、悪質性が高い行為です。例えば、売上の隠ぺいや架空経費、架空人件費の計上などがあげられます。この場合、追徴課税は、上記1に掲げたものに代えて、「重加算税」と「延滞税」が課税されます。

3、脱税

 脱税は、やっている行為自体は上記2の所得隠しと変わりませんが、悪質行為として刑罰を科すために、検察庁に告発されているものをいいます。通常、申告漏れと所得隠しは、事前通知がある税務調査で発覚しますが、脱税は、「マルサ」と呼ばれる査察官が事前通知なく、強制調査を行い、発覚します。

 今回のニュースでは、「申告漏れ総額62億円」とあり、これは計算ミスや見解の違いで税額が修正になった項目になりますが、「所得隠し1.4億円」は、故意に税額を減少させる行為をしたことが読み取れます。さらに所得隠しについては、重加算税も課税される結果になります。

 「申告漏れ」も「所得隠し」も全て「脱税」のように聞こえる言葉ですが、明確に使い分けられています。

堺事業部 吉村 隆宏

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