「知」の結集 ゆびすいコラム

2018.03.09

企業主導型保育事業について

  昨今、保育所に入所できない児童が多く社会問題となっています。

そこで、政府主導の待機児童対策として企業主導型保育事業が創設されました。
この企業主導型保育事業は、企業等が設置主体となって認可外保育所を設置し、認可保育所と同等の助成金を受けることで、安定した施設運営ができる制度となっています。
 平成30年度においても事業実施主体を募集する予定となっており、約2万人の保育の受皿を確保するため、施設整備費助成や運営費助成を行うこととなっています。

 今回のコラムでは、企業主導型保育事業の制度概要と注意点を企業側の目線から解説をしてみたいと思います。

〇 企業主導型保育事業ってなに?

① 企業等が自ら認可外保育施設を設置し、運営する。
② 認可保育所等を運営している事業者(学校法人や社会福祉法人)が自ら認可外保育施設を設置し運営する、もしくは企業等が利用する。

③ 既存の事業所内保育所の空き定員を企業等が利用する。

〇 企業主導型保育事業のメリットとは?

① 企業等の育児休業制度活用し、出産後も働くことができる職場環境を整備することで企業の人材確保に寄与する(新規採用・離職防止)。
② 従業員の多様な働き方に対応した保育サービスを提供できる。

③ 従業員のこどもの待機児童対策となり、地域のこどもも受け入れることで企業の地域貢献に役立つ。

また、企業主導型保育事業の特徴として

・認可保育施設よりも施設設置基準・職員配置基準が緩和されている。
・保育士の比率が100%ではなくても良い。

・認可保育施設と違い、市町村からの受託ではなく、公益財団法人児童育成協会からの運営費助成となる。

さらに、企業主導型保育事業を公益法人(学校法人・社会福祉法人等)が行う場合、とても気になる税制面でも優遇措置が取られています。

〇 法人税では、一定の質を確保し児童の安全を図る目的で定められた監督基準を満たしている認可外保育施設については、都道府県知事からその旨の証明書が交付されていますが、この証明書を受けている施設が行う認可外保育事業は、認可保育所と同様に収益事業に該当しないものとして取り扱うことができます。

※参考        
「一定の水準を満たすものとして地方公共団体の証明を受けた認可外保育施設において公益法人等が行う育児サービス事業に係る収益事業の判定」

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/21/17.htm

〇 消費税においても、一定の質を確保し児童の安全を図る目的で定められた監督基準を満たしている認可外保育施設については、都道府県知事からその旨の証明書が交付されていますが、この証明書を受けている施設が行う認可外保育事業に係る資産の譲渡等の対価(利用料等)は、認可保育所の保育料と同様に非課税に該当します。

※参考
「認可外保育施設の利用料」
非課税となる利用料等の範囲
(1) 保育料(延長保育、一時保育、病後児保育に係るものを含みます。)
(2) 保育を受けるために必要な予約料、年会費、入園料(入会金・登録料)、送迎料

 給食費、おやつ代、施設に備え付ける教材を購入するために徴収する教材費、傷害・賠償保険料の負担金、施設費(暖房費、光熱水費)等のように通常保育料として領収される料金等については、これらが保育料とは別の名目で領収される場合であっても、保育に必要不可欠なものである限りにおいては、非課税です。

また、「地方税」に関しても以下の優遇制度が適用されます。

〇 固定資産税・都市計画税
運営費助成を受けた後の5年間、課税標準となる価格の2分の1を参酌して、3分の1~3分の2の範囲内で市町村の条例で定める割合
 
〇 事業所税
企業主導型保育事業の用に供する施設に係る事業所税について、資産割又は従業員割の課税標準となるべき事業所床面積又は従業者給与総額が4分の1

※平成29年4月1日から平成31年3月31日に助成を受けた事業者等に限る。

平成30年度に企業主導型保育事業の助成金申請や運営サポートをお考えの方は弊社に是非ご依頼ください。

公益法人事業部  神田 聖士

教育・福祉事業